インプラント(抜歯即時埋入)で咬み合わせを回復した症例③
インプラント(抜歯即時埋入)で咬み合わせを回復した症例
▼抜歯とインプラント手術を同日に行う「抜歯即時埋入インプラント」で咬み合わせを回復した症例をご紹介します。
初診時の状況 2012年5月23日
こちらの患者さまは、右上顎2番目の歯の腫れ、痛みが気になるとのことでご来院されました。当該歯については、歯根が破折していたため、保存不可能と診断しました。歯周組織検査においては、歯周ポケットは右下顎7番目以外全顎的に2~3mm程度で口腔内清掃状況は良好でした。既往歴および全身所見に特記事項ありません。
各種検査の実施
適切なインプラントの治療計画を立案するため、事前に各種検査(デンタルエックス線写真、パノラマエックス線写真、CT撮影、歯周病検査、唾液検査)を実施します。
【レントゲン画像(術前)2012年5月23日】
【CT画像(術前)2012年6月2日】
治療計画の立案
初期治療終了後に、欠損部の治療としてブリッジとインプラント補綴治療の利点、欠点、治療期間、費用、手術方法、合併症などを十分に説明したところ、患者さまはインプラントを用いた補綴治療を希望されました。インプラントの方法については抜歯即時、待時のどちらを選択するか考えてもらい、1回の手術と骨欠損を最小限に抑えるために「抜歯即時埋入」で手術を行うことになりました。
術前検査として全身の基礎検査を行いましたが、インプラント治療の障害となる疾患はありませんでした。最終補綴物は審美性を考慮して、スクリューリテインタイプ、メタルボンド冠(内側が金属で外側はセラミックの被せ物)を選択しました。
抜歯即時埋入インプラントの実施
2012年6月にインプラント手術を実施。まずは右上顎2番目の歯に浸潤麻酔を行った後、周囲の組織を傷つけないよう抜歯。その後、抜歯部分にインプラント体(半径3.75mm×13mm スプラインHAインプラント zimmer社)を通法に従い埋入、ヒーリングキャップを締結しました。顎骨とインプラントの結合を高めるため、インプラント体と骨とのスペースにはAFG骨補填材(オスフェリオン)を填入し、縫合しました。その後は、粘膜の治癒を待ち1週間後に抜糸を行いました。
【CT画像(術後)2012年6月12日】
2012年10月、インプラントと顎骨の結合を確認後、仮歯を用いて咬み合わせなど問題がないかを確認し、2013年1月、最終的なかぶせ物(メタルボンド・スクリューリテインタイプ)を装着して治療完了です。
インプラント手術後のメインテナンス・経過観察の様子
インプラント手術後は、メインテナンスを3ヵ月に一度行い、咬合や清掃状態を確認。インプラントやお口の健康維持に取り組んでいます。
【経過観察2013年2月16日】
【経過観察2013年11月16日】
【経過観察2019年2月23日】(インプラント埋入から約6年1ヶ月後)
現在まで、3ヵ月に一度のメインテナンスを継続いただいております。
考察
前歯部におけるインプラント治療は、周囲の歯との調和を図り、審美性を高めることが重要です。また、抜歯による骨欠損は大きく不調和を招くリスクが高いことが特徴です。そのため、今回の歯根破折症例については、抜歯即時埋入を選択したことで有効な結果が得られました。今後も安定した機能維持のために定期的なメインテナンスと咬合を含め、観察を行う必要があると考えています。
年齢・性別 | 40代 男性 |
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治療期間 | 約8ヵ月 |
治療回数 | 11回 |
治療費 | 右上2番インプラント埋入 399,000円(税込)※5%税 |
リスクなど | ・過度な咬合力により、上部構造が破損・脱離する可能性があります。 ・日々のお手入れ、定期メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクが高まります。 |