インプラント(抜歯即時埋入)で咬み合わせを回復した症例②
インプラント(抜歯即時埋入)で咬み合わせを回復した症例
▼抜歯とインプラント手術を同日に行う「抜歯即時埋入インプラント」で咬み合わせを回復した症例をご紹介します。
初診時の状況 2016年9月10日
こちらの患者さまは、左上顎の1番のかぶせ物が脱離し、本人がアロンアルファでかぶせ物を装着された状態で来院されました。口腔内所見では、自発痛や打診痛はありませんでしたが、患歯より排膿が認められました。歯周組織検査においては、4mm以上のポケットが93%、BOP(検査時の出血)は100%で、口腔内清掃状況は不良でした。咬合状態は臼歯部咬合関係が低く、ディープバイト(上顎の歯の咬み合わせが深い状態)でした。既往歴および全身所見に特記事項はありません。
各種検査の実施
口腔内の状態を把握し、適切なインプラント手術を実施するため、デンタルエックス線写真、パノラマエックス線写真、CT撮影、歯周病検査、唾液検査を実施しました。
【レントゲン画像(術前)2016年9月10日】
【CT画像(術前)2016年9月10日】
治療計画の立案
初期治療終了後に、欠損部の治療としてブリッジとインプラント補綴治療の利点、欠点、治療期間、費用、手術方法、合併症などを十分に説明したところ、患者さまはインプラントを用いた補綴治療を希望されました。インプラントの方法については抜歯即時、待時のどちらを選択するか考えてもらい、1回の手術と骨欠損を最小限に抑えるために「抜歯即時埋入」で手術を行うことになりました。
術前検査として全身の基礎検査を行いましたが、インプラント治療の障害となる疾患はありませんでした。最終補綴物は審美性を考慮して、スクリューリテインタイプ、ジルコニアベースのオールセラミックス冠を選択しました。
抜歯即時埋入インプラントの実施
2016年12月にインプラント手術を実施。まずは、インプラントを埋入する部分の左上顎の1番の歯に浸潤麻酔を行い、抜歯しました。その後、抜歯した部分にインプラント体(1番目:半径3.75mm×10mm スプラインHAインプラント zimmer社)を通法に従い埋入し、ヒーリングキャップを締結しました。
インプラントと顎骨がよりしっかりと結合するよう、インプラント体と骨とのスペースにはAFG(オスフェリオン)を填入し、CGF(患者さまの血液から生成する成長因子)の膜を置き縫合しました。粘膜の治癒を待ち、1週間後に抜糸を行いました。
【CT画像(術後)2016年12月17日】
2017年4月、インプラントと顎骨が結合した後、仮歯を装着して咬み合わせなど問題がないかを確認しました。2017年5月、最終的なかぶせ物(ジルコニアベースオールセラミックス・スクリューリテインタイプ)をインプラントに装着して治療完了です。
インプラント手術後のメインテナンス・経過観察の様子
インプラント手術後は、3ヵ月に一度咬合、清掃状態をメインテナンスにて確認し、インプラント・お口の健康維持に努めております。
【経過観察2018年12月23日】
【経過観察2019年3月10日】
現在まで、3ヵ月に一度のメインテナンスを継続中です。
考察
前歯部におけるインプラント治療は、審美的要素が強いため出来るだけ周囲の歯との調和を図ることが重要です。また、抜歯による骨欠損は大きく不調和を招きがちであるため、今回の歯根破折症例については、抜歯即時埋入を行ったことにより、有効な結果が得られました。今後も安定した機能維持のために定期的なメインテナンスと咬合を含め、観察を行う必要があると考えています。
年齢・性別 | 30代 男性 |
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治療期間 | 約8ヵ月 |
治療回数 | 13回 |
治療費 | 470,880円(税込) |
リスクなど | ・過度な咬合力により、上部構造が破損・脱離する可能性があります。 ・日々のお手入れ、定期メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクが高まります。 |