インプラント(抜歯即時埋入)で咬み合わせを回復した症例④
インプラント(抜歯即時埋入)で咬み合わせを回復した症例
▼抜歯とインプラント手術を同日に行う「抜歯即時埋入インプラント」で咬み合わせを回復した症例をご紹介します。
初診時の状況 2013年3月27日
こちらの患者さまは、右下顎5番目の歯の腫れ、痛みが気になるとのことでご来院されました。当該歯については歯根破折していたため、保存不可能と診断。歯周組織検査の結果、歯周ポケットは全顎的に2~3mm程度で口腔内清掃状況は良好でした。既往歴および全身所見に特記事項ありません。
各種検査の実施
適切なインプラントの治療計画を立案するため、事前に各種検査(デンタルエックス線写真、パノラマエックス線写真、CT撮影、歯周病検査、唾液検査)を実施します。
【レントゲン画像(術前)2013年3月27日】
【CT画像(術前)2013年4月5日】
治療計画の立案
初期治療終了後に、欠損部の治療としてブリッジとインプラント補綴治療の利点、欠点、治療期間、費用、手術方法、合併症などを十分に説明したところ、患者さまはインプラントを用いた補綴治療を希望されました。インプラントの方法については抜歯即時、待時のどちらを選択するか考えてもらい、1回の手術と骨欠損を最小限に抑えるために「抜歯即時埋入」で手術を行うことになりました。
術前検査として全身の基礎検査を行いましたが、インプラント治療の障害となる疾患はありませんでした。最終補綴物は審美性を考慮して、ジルコニアベースのスクリューリテインタイプを選択しました。
抜歯即時埋入インプラントの実施
2013年5月にインプラント手術を実施。最初に右下顎5番目の歯に浸潤麻酔を行った後、丁寧に抜歯しました。(右:抜歯した右下顎5番目の歯)
その後、抜歯した部分にインプラント体(半径3.75mm×11.5mm スプラインHAインプラント zimmer社)を通法に従い埋入、ヒーリングキャップを締結しました。顎骨とインプラントがしっかりとくっつくように、インプラント体と骨とのスペースには、骨充填材AFG(セラソルブ)を填入し、CGF(患者さまの血液から生成する成長因子)の膜を置いて縫合しました。手術後は、粘膜の治癒を待ち1週間後に患部の抜糸を行いました。
【CT画像(術後)2013年5月27日】
2014年2月、インプラントと顎骨が結合するための待機期間が終了後、仮歯を用いて咬み合わせなど問題がないかを確認、2014年3月、最終的なかぶせ物(ジルコニアベース・スクリューリテイン)を装着して治療完了です。
インプラント手術後のメインテナンス・経過観察の様子
インプラント手術後は、メインテナンスを3ヵ月に一度行い、咬合や清掃状態を確認。インプラントやお口の健康維持に取り組んでいます。
【経過観察2018年12月21日】
【経過観察2018年12月21日】
現在まで、3ヵ月に一度のメインテナンスを継続いただいております。
考察
抜歯による骨欠損は大きく不調和を招くリスクが高いことが特徴です。そのため、今回の歯根破折症例については、抜歯即時埋入を選択したことで有効な結果が得られました。今後も安定した機能維持のために定期的なメインテナンスと咬合を含め、観察を行う必要があると考えています。
年齢・性別 | 70代 女性 |
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治療期間 | 約11ヵ月 |
治療回数 | 12回 |
治療費 | 右下5番インプラント埋入 399,000円(税込)※5%税 |
リスクなど | ・過度な咬合力により、上部構造が破損・脱離する可能性があります。 ・日々のお手入れ、定期メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクが高まります。 |